2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳蛋白由来のニューロテンシンアゴニストを用いた健やかな脳の発達のための食品の開発
Project/Area Number |
04J07011
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
山内 玲奈 国立精神・神経センター, 疾病研究第四部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 抗不安・抗ストレス作用 / 学習・記憶 |
Research Abstract |
(知的財産所有権の保護のため、以下の実験に用いた物質名は物質Xと記載する。) 4残基のアミノ酸から構成される物質Xは、レセプターR2に対して高い選択性を示す。本年度は、物質Xによる新しい中枢作用(学習・記憶の促進、抗ストレス作用等)のスクリーニングを種々の行動実験を通じて行い、それらの作用が生体内でどのようなメカニズムを介しているかについて検討した。 実験用動物としてC57BL/6Jマウスを用い、行動実験としてLD-box, Hole-board,およびFear-conditioning Testを行った。マウスに物質Xを投与すると、LD-box Testにおいて暗室移動潜時(latency)が用量依存的に延長することが認められた。また、マウスに物質Xを投与した個体は、ストレス負荷条件下のHole-Board TestにおけるHead-dipping回数が有意に増加した。これらのことから物質Xは抗ストレス・抗不安作用を示すことがわかった。また、R2拮抗薬の投与により、物質XのHead-dipping回数に対する効果はblockされた。これより、物質Xによる抗ストレス・抗不安作用はR2を介したものである可能性が示された。さらに、Fear-conditioning Testにおいて、物質Xを投与した個体はcued testの際にコントロール群に対しFreezingが顕著に減少した。この頃向は初回のTestから1週間後、3週間後と時間の経過と共に顕著に見られた。すなわち、物質Xは抗不安作用の他に新規記憶の形成を促進する可能性があることが示唆された。現在、学習・記憶を判定する他の行動試験を計画中である。また、発達期の様々な段階における動物(主にマウス)に物質Xを投与した際の行動試験への影響や、脳の発達過程におけるレセプターの発現等の経時的な変動や、神経細胞可塑性への影響について検討中である。
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