2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳蛋白由来のニューロテンシンアゴニストを用いた健やかな脳の発達のための食品の開発
Project/Area Number |
04J07011
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
山内 玲奈 国立精神・神経センター, 疾病研究第四部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 抗不安・抗ストレス作用 / 学習・記憶 |
Research Abstract |
β-lactotensin(以下、β-LT)は牛乳β-lactoglobulinの酵素消化物から単離された4残基のペプチドで、neurotensinの低親和性レセプターであるNTR2に対して高い選択性を示す。前年度までの研究では、成体マウスにおいてβ-LTの情動行動に対する影響を検討したところ、腹腔内投与によりストレス下でのHole-Board TestにおいてHead-dipping回数の減少を有意に改善する抗ストレス効果を示した。また、この作用はNTR2の拮抗薬によってblockされることが明らかとなった。しかしながら、β-LTの生体内での作用部位については未検討であった。 本年度は、β-LTの投与後の動態について検討を行った。まず^3Hラベルを付加した^3H-β-LTをマウスに腹腔内投与し、尿中および糞中への排泄率を計測した。^3H-β-LTの代謝産物は投与12時間後が尿中、糞中ともに約10%で最も多く、以降はほとんど増加しなかったことから、投与後約80%が速やかに組織中に取り込まれる可能性が示唆された。投与ラベル体の脳および各組織分布については検討中である。 また、β-LTは成体に効果を示したため、成長段階のマウスにβ-LTを投与した際の、成長後の行動への影響についても検討した。生後7日令のマウスに生食またはβ-LTを7日間腹腔内投与し、8〜10週後に行動実験としてLD-box, Hole-board,およびFear-conditioning Testを行った。いずれの試験においても、生食投与群とβ-LT投与群との間には、有意差は認められなかった。これより7日令でのβ-LT投与は成長後の情動行動に影響しないと考えられた。現在、成長後の行動へのβ-LTの影響について、妊娠マウスおよび出産直後のマウスへの投与を検討中である。
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Research Products
(1 results)