2006 Fiscal Year Annual Research Report
植民地朝鮮における対日協力・動員政策と朝鮮人知識人
Project/Area Number |
04J07151
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Research Fellow |
趙 慶喜 東京外国語大学, 外国語学部, 特別研究員PD
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Keywords | 過去清算 / 親日 / 動員 / 植民地近代 / 協力 / 脱植民地主義 / 民族主義 |
Research Abstract |
今年度の課題は、韓国における「親日派」研究の成果、あるいは日韓の歴史認識をめぐる論点を体系的に整理するとともに、近年韓国社会で進行中の「過去清算」の実践的課題のなかに研究を位置づけ直すことにあった。 近年の韓国では過去をめぐってさまざまな葛藤が引き起こされている。とりわけ「親日派」の功罪に対する正反対の評価が見られるなど社会的論争の的となってきた。他方で、学問的にも協力論や植民地近代性論、ファシズム論や日常史論など植民地支配をめぐる新たな枠組みによって、こうした実践課題についての幅広い解釈と論争を生み出してきた。過去をめぐる論争を、こうした歴史的解釈と社会的審判のせめぎあいのなかでとらえて介入を試みた。その成果については、「『歴史の過少』の克服に向けて」としてまとめた。 また、こうした論争を韓国内部にとどまらず日本の植民地主義との関わりから論じたのが、「脱植民地主義の契機としての親日清算」である。「親日派」の存在が近現代の朝鮮半島においていかに「通奏低音」として響いてきたのかを追いつつ、親日清算を単に韓国内部の内政問題としてではなく日本の植民地支配責任の観点から論じた。近年日韓のあいだにはナショナリズムや民族主義を超えた連帯が模索され、「和解」が目指されつっある。本研究ではこうした傾向に着目しつつも、和解が先行するのではなく、和解を語れない地点を共に考えることについて問題提起をおこなった。 以上のように、今年度は主に具体的な歴史的事象を分析するための認識論および方法論について批判的に検討した。以上の成果を前提にして、今後植民地朝鮮における「親日」や動員が、日常生活のなかでいかに社会的に進行していくのか、研究をすすめていく予定である。
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Research Products
(3 results)