2004 Fiscal Year Annual Research Report
アントニオ・タブッキを中心とした文学における複数言語性
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04J07169
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
花本 知子 東京外国語大学, 大学院・地域文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アントニオ・タブッキ / イタリア現代文学 / テクスト分析 |
Research Abstract |
本研究は、イタリア語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語などの複数の言語的拠点を有すアントニオ・タブッキの文学作品を、互いに異なる立場から生産される、複数の言語に寄り添った表現可能性の観点から明らかにすることを目的としている。また、文字によらない言語(絵画言語、映画言語)と文字言語間の複数言語性を考察することで、(文学作品を中心とした)芸術作品において複数言語性が作用する様態とその効果を検証することも、研究の対象に含む。 本研究に欠かせない資料のうち、視覚芸術とのかかわりが深いテクストを入手するため、2004年7月30日より2005年2月28日まで、イタリアにおいて文献収集活動を行った。その結果、従来のタブッキ研究において通常コーパスに加われていない一次資料である作品をいくつか収集することが出来た。これらの作品は主に、写真集・画集に寄せた小説・詩的な文章、あるいは画家と共同で製作した限定本である。後に単行本として刊行される作品の一部として書かれたものもあり、実際に完成した作品と完成以前の作品を比較検討することにより、一種の生成研究の資料となり得る、重要なものである。また、文書資料のみに限らず、作家タブッキ自身の講演を実際に聞いたり、録音音声資料を利用して過去の講演の書き起こしを行って新たな資料として加えたりと、博士論文執筆に不可欠な材料の多くを得ることが出来た。 研究課題である小説言語・絵画言語を含んだ複数言語性の観点から小説作品の分析を進め、分析の成果を新たな資料とつき合わせて再検討し、統合的なテーマにそって、個別の具体的なケースを有機的につなげる作業を行った。
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Research Products
(1 results)