2005 Fiscal Year Annual Research Report
薬物再生時間の制御:自発的に再生可能な新規水溶性プロドラッグの創製
Project/Area Number |
04J07234
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Research Fellow |
相馬 洋平 京都薬科大学, 薬学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 水溶性プロドラッグ / O-Nアシル転位反応 / タキソイド / difficult sequence / O-アシルイソペプチド / アルツハイマー病 / アミロイドβペプチド / Aβ1-42 |
Research Abstract |
HIVプロテアーゼ阻害剤や抗がん剤であるタキソイド類等の水溶性改善は重要な課題である。一方、薬物における難水溶性と類似の問題が固相ペプチド合成の分野においても観察され、本問題を抱えるペプチドはdifficult sequence含有ペプチドと呼ばれる。 申請者はこれまでに分子内求核反応を基盤とした水溶性プロドラッグ創製研究を展開しておりHIVプロテアーゼ阻害剤などで実績を挙げている。さらに本成果を抗がん剤であるタキソイド類に適応し、O-N分子内アシル転位反応を利用した水溶性プロドラッグ開発を行ってきた。結果、種々タキソイドの2'-O-acyl isoform(イソタキソイド)が親薬物に比べ顕著に高い水溶性を有すると共に、生理的条件下において副反応を伴うことなく、定量的に対応するタキソイドへと変換することを明らかにした。このことは本「自発的に再生可能な水溶性プロドラッグ」戦略の普遍性を支持するものであると考えられる。 一方、プロドラッグ研究で培った経験を基に、難溶性ペプチドに適応することでその溶解性を改善し、新規ペプチド合成法"O-アシルイソペプチド法"の開発・確立に成功した。特に、生理的に重要なdifficult sequence含有ペプチドであるアルツハイマー病原因アミロイドβペプチド(Aβ)1-42およびその変異体における合成研究から、本方法は従来の合成法と比べ顕著に収率を向上できることを明らかにした。またこのイソペプチドは生物評価系に加えることで、in situでインタクトなAβ1-42を迅速に産生させることが可能と考えられ、アルツハイマー病研究において有益な新規研究ツールになると期待される。我々はこれを"クリックペプチド"と命名しアルツハイマー病の病因解明において有益な生物学的研究ツールの提供に繋がる、Chemical Biologyを指向した研究を展開している。
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Research Products
(4 results)