2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造粒子を用いた結晶・準結晶の構造と相転移に関する研究
Project/Area Number |
04J07384
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
城戸 修 立命館大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノ粒子 / 電子顕微鏡法 / 相転移 / 準結晶 |
Research Abstract |
ガス中蒸発法を用いて作成した金属・合金ナノ粒子の相転移機構について、透過型電子顕微鏡を用いて研究を行っている。これまでに透過型電子顕微鏡中でナノ粒子を加熱しながら直接観察することによって、ナノ粒子の相転移温度と相転移における粒子の形態変化を同時に観察する手法をすでに確立している。 ガス中蒸発法によって作成したCrナノ粒子は、BCC構造のα-Crとナノ領域でのみ安定に存在することができるδ-Crがそれぞれ生成することが知られている。δ-Crは熱力学的に準安定相であり、加熱することによって安定なα-Crに相転移することが報告されていた。しかし、様々な実験によってその相転移温度の値は分散しており、正確な決定はされていなかった。そこで様々なδ-Crナノ粒子を電子顕微鏡中で加熱することによって、一つ一つの粒子の相転移温度を決定する実験を系統的に行った。その結果、δ-Crのα-Crへの相転移温度は粒子の大きさに依存しており、粒子が小さくなるほど相転移温度が上昇するということを明らかにした。また、相転移の際に粒子の形態は偏菱形二十四面体から菱形十二面体へと変化することを見だし、その方位関係を明らかにした。 同様に、ガス中蒸発法によって作成したMnナノ粒子は、3つの形態をとることが知られており、それぞれα-Mn、β-Mn及びそれらの混在した構造を持つことが知られている。β-Mnはバルク固体では700℃以上で安定に存在する高温相であり、室温では準安定状態である。このβ-Mnナノ粒子を電子顕微鏡中で加熱することによって、熱力学的構造安定性を調べた。その結果、β-Mnナノ粒子は500℃以上で完全にα-Mnに相転移することを明らかにした。また、相転移の前後で形態の変化は見られなかった。同様に、α-Mnナノ粒子についても調べた結果、バルク固体と同様に、700℃以上で完全にβ-Mnに相転移することを見出した。今後は、500℃以下での粒子の構造を調べ、それぞれの相転移温度を決定していく予定である。
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Research Products
(23 results)