2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造粒子を用いた結晶・準結晶の構造と相転移に関する系統的研究
Project/Area Number |
04J07384
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
城戸 修 立命館大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノ粒子 / マンガン / 透過型電子顕微鏡法 / その場観察 / 構造相転移 |
Research Abstract |
透過型電子顕微鏡その場観察法を用いて、金属・金属間化合物微粒子の相転移機構を調べてきた。特に、ガス中蒸発法によって生成する準安定相金属微粒子の安定相への相転移温度と粒子の形態変化について調べてきた。 ガス中蒸発法によってMn微粒子を作製すると、金属煙の冷却速度が最も速い領域でβ-Mn微粒子が生成する。β-Mn微粒子は等価な(110)面で囲まれた菱形十二面体型の形態を持ち、50-400nmの粒子サイズで存在する。これらの粒子を透過型電子顕微鏡中で加熱し、粒子が安定なα-Mn相へ転移する温度を調べた。その結果、β-Mn微粒子は形態を変化させることなくα-Mn相へ転移し、その転移温度は粒子サイズが小さくなるほど高くなる傾向にあることが分かった。これは、以前のδ-Cr微粒子を用いた実験と同様の結果である。しかし、β-Mn微粒子については、相転移温度と粒子サイズの近似曲線から大きく外れる粒子が多数存在した。小さな粒子(100nm以下)であってもかなり低い温度で相転移したり、逆に大きな粒子(250nm以上)でもβ-Mnのまま安定に存在したりするものもあった。このような特徴的な粒子を詳しく観察すると、小さな粒子の場合は、粒子を大気に晒すことによって生成する自然酸化膜層が他の粒子よりも厚かったり(約20nm)、歪んだ菱形十二面体であったりすることが分かった。一方で大きな粒子については、自然酸化膜層が室温の状態と全く同程度(約10nm)であり、さらにほぼ理想的な菱形十二面体の形態であることが分かった。これらの結果から、α相への転移温度は粒子サイズだけに依存するのではなく、粒子の形態の完全性や自然酸化膜層の安定性などにも依存していることが考えられる。 これらの結果は、2006年10月に大阪大学で行われた日本結晶成長国内会議にて口頭発表を行った。
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Research Products
(1 results)