2004 Fiscal Year Annual Research Report
近接場光を用いた高精度原子操作による超微細構造物の作製に関する研究
Project/Area Number |
04J07505
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高見澤 昭文 慶應義塾大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近接場光 / 高精度原子操作 / 単一原子検出 / マイクロチップ |
Research Abstract |
10nmサイズの近接場光の領域に原子を送り込むために、近接場光ファネルを用いて高密度の冷却原子ビームを形成することを目指している。こうした冷却原子ビームを効率よく検出するために、数mmのサイズでかつ高NAを有するレンズを用いて、原子からの共鳴蛍光を集光して光ファイバに結合させ検出する実験を行っている、この検出系を用いることによって単一原子の検出も可能であると見積もられており、将来的に近接場光を用いた単一原子の超高精度操作における検出器として使用されることも期待される。 本実験では、基板上に微小な導線を配して基盤近傍にミクロンサイズの磁気ポテンシャルを形成するマイクロチップを用いて冷却原子を検出領域まで移動させる。使用するRb原子の共鳴周波数に対して負離調の波長830nmのレーザを光ファイバを用いて導入し、出力光をレンズで集光することによって焦点の位置に双極子力によるトラップポテンシャルを形成する。これによって蛍光観測に十分に長い時間原子を検出領域にトラップする。波長780nmの蛍光はトラップポテンシャル生成に用いたものと同じレンズと光ファイバによって外部に取り出される。この手法では、検出シスデム全体を1cm程度に小さくするごとができる上に、検出システムとチップを接着して一体化させることが可能である。しかも、光ファイバを用いているため、蛍光を真空装置外へ取り出すことが容易である。こうした理由から、本検出方法は高精度原子操作における単等原子検出系として極めて優れている。 これまでに、トラップポテンシャルの位置が蛍光の観測領域に十分に重なっており、発する蛍光を6.3%の効率で観測できることを実験的に確かめた。この検出効率から、アバランシェダイオードなどの高感度光検出器を用いて単一原子からの蛍光を観測することが可能であると見積もられる。
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