2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J07544
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 光太郎 慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 系列学習 / 脳可塑性 / 海馬 / 空間記憶 / ラット / 系統差 |
Research Abstract |
ラット海馬の脳機能可塑性の指標とするべく、匂い刺激を用いた系列学習課題(Fortin et al.,2002)の再現を目指した。この課題では、カップ内に砂を敷き、そこに強化子を埋め、砂上に匂いパウダーを設置する。ラットは、砂を掘り強化子を摂取するが、そのときに匂い刺激を学習する。訓練では、系時的に異なる匂いの付着したカップを提示する。そして、テストにおいて2つのカップを提示し、どちらを選択したかが記録される。そのとき、時系列的に先行して提示された匂いを選択することがFortinらによって確認されている。この現象をFortinらは、提示された順番を系列学習したとして説明した。それに対し、時系列的にあとに提示された刺激を避けるようなWin-Shift戦略の結果とも考えられる。そこで、2種類の匂いABをABAと提示した。Win-Shift戦略がとられるならテスト時にBを選ぶはずであるが、実際はAが選択された。また、Wistar系ラットでは、匂い刺激が4つのときに、Long-Evans系ラットを用いた先行研究と合致しない結果が得られた。そこで系統、実験事態等の要因を検討するため、Fisher系ラットに同課題を与えたところ、Long-Evans系ラットと類似する結果が得られた。次に、刺激提示の間隔を長くし、認知的負担を高めたところ、Fisher系ラットとWistar系ラットにおいて同様の結果が得られた。そのとき、一頭最初に提示した刺激と最後に提示した刺激に対する反応率が高くなった。これは系列学習における初頭効果と親近効果に対応すると思われる。これらの結果から、このFortinらの課題が系列学習を検討していること、そしてラットの系統間の系列学習の能力に差があることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)