2004 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス応答型分子認識スイッチング機能を目指したイミン環状オリゴマー
Project/Area Number |
04J07588
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Research Institution | Keio University |
Research Fellow |
金澤 洋彦 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 環状イミン / 環化反応 / レドックス / 分子認識スイッチング / 分子機械 / コンホメーション制御 / 環状フェニルアゾメチン / カチオン-π相互作用 |
Research Abstract |
単結合自由回転は力学的な出力を与えないが、我々に分子モーターを想像させてきた。パラフェニレンはパラ位方向を軸とした回転子と捉えることが出来る。パラ位を含んでπ共役系を拡張すると、置換基上のレドックスに付随してキノイド構造が生成し回転軸が固定される。そこで自由回転の固定・開放を溶液中での電極反応で制御する分子モジュールとしてパラフェニレンジアミンに着目した。また、環状構造は分子に異方性を付与する設計として有効であると考え、一連の主鎖レドックス型パラシクロファンの合成・レドックス特性・構造変化・分子認識の制御を検討した。 アントラキノンと4,4'-メチレンジアニリンを四塩化チタンを用いた脱水反応にかけ、様々な環サイズのイミン環状オリゴマーを高収率かつ選択的に得た。イミンを化学的に還元し対応するアミンへと定量的に変換した。サイクリックボルタンメトリー測定において環状イミンは酸存在下、可逆安定な酸化還元特性を示した。電気化学的解析からこのレドックスはイミン・アミン種の生成に対応することが判明した。酸化還元前後の分子構造をX線結晶構造解析から求めた。イミン環状4量体では、キャビティーがアントラキノン部分によって完全に塞がれていたが、その還元体ではキャビティーが開き内部に結晶溶媒が存在していた。 ゲストに芳香族メチルピリジニウムを用いて、環状体との相互作用をNMRタイトレーションから検討したところ、イミン環状4量体ではシグナルのシフトが観測されなかったが、その還元体では明確なシフトが観測された。これは、カチオン-π相互作用によるキャビティー内へのピリジニウムゲストの取り込みに基づくものと考えられる.本研究ではレドックス制御によりキャビティー空間の開閉制御に成功し、その開閉が分子認識の制御に応用できることを明らかにした。環状キノンイミンは分子機械の重要なプロトタイプであると考えられる。
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Research Products
(4 results)