2004 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児への早期療育の効果に関する行動・神経科学的研究
Project/Area Number |
04J07608
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
直井 望 慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 発達障害 / 自閉症 / 早期療育 / 言語 / コミュニケーション / 指さし理解 / 親子相互作用 / 近赤外分光法 |
Research Abstract |
自閉症児、健常児を対象として以下の3点を実施した。 1、コミュニケーション獲得の必要条件の検討:(1)共同注意の獲得:自閉症児と健常児の指さし理解の遂行を比較した。その結果、自閉症児群では、発達年齢20ヶ月以下の子どもの遂行が低くく、また、指さし理解と比較して、視線の理解が有意に低いことが示された。健常児群においても同様の傾向が見られ、自閉症児群の視線理解の困難さは、自閉症特有な障害ではなく、発達年齢と一致した反応であることが示唆された。指さし理解が未獲得な自閉症児においても、必要な対象物を要求する場面を用いた指導を行い、指さし、頭、視線の理解が獲得された。この結果の一部は、World Congress of Behavioral and Cognitive Therapies(2004年7月、神戸)にて発表した。(2)2語文による叙述の獲得:自閉症児を対象に、マトリックス訓練による2語文獲得を検討した。その結果、少数刺激の訓練によって、未訓練刺激への般化が示され、マトリックス訓練の有効性が示唆された。この成果は、日本行動分析学会第22回大会(2004年9月、東京)にて発表した。(3)早期療育プログラムの体系化:これまでの研究から明らかになった、共同注意、模倣など、機能的なコミュニケーションに必要なスキルの獲得条件を、効果的な早期療育の方法として体系化し、日本特殊教育学会第42回大会(2004年9月、東京)にて発表した。2、親子相互交渉データの収集:療育が親子相互交渉に及ぼす効果ついて検討するため、自閉症児と健常児の、自由遊び場面における親子相互交渉の行動データを収集し、データベース化した。3、近赤外分光法による脳機能データの収集:発達障害児の脳機能を測定する準備段階として、健常成人、3-12ヶ月齢の健常児を対象として近赤外分光法を用いたデータ収集、分析のノウハウを蓄積した。
|
Research Products
(2 results)