2004 Fiscal Year Annual Research Report
レーザアブレーションを用いた光導波路作製プロセスの開発
Project/Area Number |
04J07619
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡東 健 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パルスレーザ堆積法 / PLD法 / 導波路レーザ / Nd : KGd(WO_4)_2 / Si基板 / 光導波路 / ビーム伝播法 / モンテカルロ直接法 |
Research Abstract |
本研究においては、酸化物結晶薄膜を用いた光電子融合デバイスの開発を目指して研究を行っている。このようなデバイス作製においては半導体プロセスと組み合わせた真空一貫プロセスへの適応が可能であることが、今後の応用を考えた場合に非常に有効である。それにはレーザアブレーションを用いたパルスレーザ堆積(PLD)法が適しており、広く研究が行われている。これまでPLD法を用いて、Si基板上へのNd : KGWレーザ導波路薄膜作製と光導波損失の低減に関する研究を行ってきた。本年度の成果で重要な点は以下の2点である。 (1)Si基板上へ光導波路構造を得るために酸化セリウム(CeO_2)緩衝層を導入 現在の酸化物薄膜系の光導波路に関する論文はその殆どが誘電体上に作製されたものである。一方で、Si基板上へ光アクティブデバイスを作製することは素子の集積化という観点から興味深い。しかしながらSiは高い屈折率を有するために光導波路薄膜を基板上に作製できない。本研究ではこの問題を解決するためにSi基板と導波路薄膜の間にCeO_2緩衝層を初めて導入した。これらにより光導波構造を有した結晶薄膜の作製に成功した。 (2)ノズルガス支援(Nozzle-gas-assisted : NGA)-PLD法の開発 通常PLD法では、薄膜に酸素欠陥を生じさせないために背景気圧を適切な値に保って作製が行われる。この際、重要なのは酸素圧を挙げていくと、同時に薄膜の表面粗さが増大してしまうということである。そこで本研究では新たにNGA-PLD法という手法を開発した。これはノズルから噴射した酸素を薄膜の表面に吹きつけながら成長を行うという手法である。ここでは、ノズルの位置と流量を最適化することで低損失な光導波を作製することができた。 以上は、本研究で低損失なNd : KGW光導波路をSi基板へ作製する過程において開発した手法であるが、当然、様々な材料の薄膜を作製する際においても適用できる汎用性の高いものである。
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