2006 Fiscal Year Annual Research Report
血小板由来増殖因子(PDGF)受容体の発現制御機構解析と癌悪性化における役割解明
Project/Area Number |
04J07635
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
湊 雄介 慶應義塾大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | PDGF / E2F-1 / alternate promoter / transcript variant / 新規exon |
Research Abstract |
我々は、従来報告されているヒト血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のmRNA (PRmRNA1)とは異なった5'非翻訳領域(exon 1β)を有する新しいPDGFR mRNA (PRmRNA2)を見出した。また、PRmRNA2はPDGFR遺伝子のintron 1として報告されている配列中から転写され、その発現は転写因子E2F-1によって制御されていることを種々のin vitroアッセイ系を用いて示した。そこでE2F-1によりPRmRNA2の発現が細胞内で誘導されるかを、ヒト大腸がんSW480およびヒト食道がんEC17細胞を用いて検討した。その結果、E2F-1単独ではPRmRNA2の発現は誘導されなかったが、DNA脱メチル化剤5-azacytidineおよびヒストン脱アセチル化酵素阻害剤trichostatin A存在下でE2F-1によりPRmRNA2の発現のみが誘導された。このことから、PRmRNA2の発現制御にはE2F-1だけでなくエピジェネティック制御も関与していることが明らかとなった。 複数のプロモーターにより制御されている遺伝子の発現は、組織や時期特異的であることが知られている。ヒトでの解析は困難であるため、ヒト同様E2F-1により制御されているマウスPRmRNA2の組織・時期発現パターンをreal-time PCRにより検討した。その結果、PRmRNA1の発現は様々な成体組織やembryoにおいて検出されたのに対し、PRmRNA2の発現はembryo特異的であった。このことから、PRmRNA2は個体の発生や分化において重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 現在、これらの成果をまとめ、2報の原著論文に投稿中である。
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