2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J07637
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中原 仁 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オリゴデンドロサイト / 免疫グロブリンFc受容体γ鎖 / Fynチロシンキナーゼ / CD45 / ミエリン塩基性蛋白 / 脱髄疾患 / 髄鞘形成機構 / 多発性硬化症 |
Research Abstract |
中原は平成17年度研究開始時点において、髄鞘形成の信号伝達カスケードとして、免疫グロブリンFc受容体γ鎖(FcRγ)→Fynチロシンキナーゼ(Fyn)+CD45→ミエリン塩基性蛋白(MBP)の機構が存在することを同定していた。この信号伝達カスケードを用いて、髄鞘再生を目的とした脱髄疾患治療薬を開発することが望まれるが、これら基礎研究はげっ歯類を用いて行われた為、同じ機構が人においても有効かどうかの解析を必要とした。 中原は平成17年度にこの点を解明すべく、米国研究機関より供与された人の死後脳(脱髄疾患で患者数が最も多い多発性硬化症(MS)脳、及び比較試験用の健常人脳)を用いて、そこに認められる髄鞘形成担当細胞の前駆細胞(Oligodendrocyte Precursor Cells ; OPCs)におけるFcRγの発現、並びに髄鞘再生との関連を病理組織学的、統計学的に解析を行った。その結果、げっ歯類の所見を裏付けるように、MS脳及び健常人脳のいずれにおいても、内在するOPCsにFcRγが発現していることを確認した。また、MS脳の脱髄病巣と、自然経過で髄鞘再生が行われた領域(Shadow Plaque)におけるFcRγ陽性OPCsの分布を統計学的に解析した結果、髄鞘再生が行われた領域では有意に(約3倍)FcRγ陽性OPCsの密度が高いことを発見した。これら結果から、FcRγが実際に人の脱髄疾患治療薬開発を行う上でターゲットとなると結論した。以上の研究結果は国際誌上において近日公開される予定である。
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Research Products
(1 results)