2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ2量体を用いた双頭ミオシンVの協調した働きによる運動機能の1分子観察
Project/Area Number |
04J07647
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有賀 隆行 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 1分子観察 / ミオシンV / 光ピンセット / 1分子生物学 / 生体分子モーター / エネルギー変換 |
Research Abstract |
ミオシンVは、その2つのモータードメインが交互にATPを加水分解し、協調した働きをすることでアクチン線維上を数μmに渡り連続的に運動するというモデルが提唱されている。本研究は、このミオシンVの変異体を1分子観察することにより、モータードメイン間に形成される協調した働きを直接観察する手法を開発し、その仕組みの解明を目的として研究を行っている。 昨年度までに、1分子観察のための顕微鏡装置開発を行い、蛍光性ATPの1分子観察と、ナノメートル精度での運動計測を同時に行うことを可能にした。本年度においては、顕微鏡にさらなる改良を行い、その結果、劇的に高いS/N比(従来比で約1000倍)を実現し、従来の顕微鏡では果たせなかったより高い安定性(<2nm/min)を達成した。この新しく開発した顕微鏡を用いてミオシンVを観察することにより、蛍光性ATPを用いた加水分解の結合解離過程の可視化と、運動発生を同,時に計測することに成功した。この成果は、第43回日本生物物理学会(札幌)および50th Annual meeting of Biophyscal Society (Salt Lake City Utah)に於いて発表を行った。 また、変異体を用いた1分子計測の予備実験として、再構成ミオシンVを用いて力・変位発生の詳細な1分子解析を行ったところ、新たに開発した顕微鏡の高分解性能により、従来では見られていなかった素過程の存在が予備的な結果ながら示唆された(未発表)。それと平行して、いくつかのミオシンVの加水分解変異体の作製も行い、現在はそれらの変異体のキャラクタリゼーションに着手している。 以上の結果から、蛍光性ATPを用いた結合解離の直接観察と、加水分解変異体を用いた加水分解素過程の解析を、新たに開発した高分解能顕微鏡による力発生の素過程分析を組み合わせることにより、ATPの加水分解といった化学反応エネルギーが運動発生といった力学的エネルギーに変換される生体分子モーターのエネルギー変換機構を明らかにする道を示した。
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Research Products
(1 results)