2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヤップ社会の土地政策と近代的所有概念のグローバル化に関する人類学的研究
Project/Area Number |
04J07698
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
則竹 賢 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 人類学 / ミクロネシア / ヤップ / 所有 / 土地 / 法 / 紛争 |
Research Abstract |
1 ミクロネシア連邦ヤップ州およびパラオ共和国でおよそ1ヶ月間の現地調査を行った。ヤップでは、これまで調査してきた土地および海域紛争事例についての追跡調査を行った。また、パラオ共和国でも土地紛争事例についての調査を行い、ヤップの事例との異同について把握した。 2 法や所有に関する学問横断的な議論の場として、人類学や法社会学を専攻する有志とともに法人類学勉強会を立ち上げた。この勉強会で文献の読書会やメンバーのオリジナルな研究報告を定期的に行い、法に関する学際的な理解を深めた。 3 現地調査および上記勉強会での発表や討論の成果として、日本法社会学会関西支部研究会で口頭発表(1)を行うとともに、上記勉強会の報告書に掲載予定の論文(2)を執筆した。 (1)「「慣習法」が創られるとき-ミクロネシア・ヤップの土地裁判より-」 この発表では、西洋的所有概念とヤップの日常的な土地概念の「もつれ合い」を通じてヤップの土地「慣習法」が生成されていく過程を分析することで、法の内部分析に終始しがちな批判法学の方法論を人類学の立場から批判的に検証した。 (2)「「現地人の視点」から見た「多元的法体制」-ミクロネシア連邦ヤップ州のある海域紛争における「伝統と慣習」をめぐって-」 同論文では、従来の多元的法体制論がしばしば人々の日常的な法認識を看過してきた点を批判し、ヤップで発生した海域紛争で紛争当事者や裁判所が「伝統と慣習」(traditions and customs)という憲法の規定をいかに解釈したかを解明することで、彼/彼女ら自身の「多元的法体制」認識に注目することの重要性を示した。
|
Research Products
(1 results)