2004 Fiscal Year Annual Research Report
チップ増強非線形光学効果を利用した分子振動ナノイメージング
Project/Area Number |
04J07751
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
市村 垂生 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 金属ナノプローブ / コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS) / 局在プラズモン / 近接場光学顕微鏡 / 分子振動イメージング |
Research Abstract |
金属ナノプローブを用いた近接場光学顕微鏡と非線形ラマン散乱の1つであるコヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)を組み合わせて、近接場CARS分光システムを構築し、ナノスケールの空間分解能でDNAイメージングを実現した。システムは、2色のピコ秒チタンサファイアレーザーと原子間力顕微鏡を搭載した倒立顕微鏡で構成される。同期した2色のレーザーを対物レンズにより試料表面に集光した。集光スポット内の金属プローブ先端(チップ)を挿入し、局在プラズモン電場増強効果により先端近傍にナノサイズの光スポットを生成した。このナノ光スポットにより、ナノ領域の分子のCARS分極を誘起した。これにより、実際にDNAの自己組織化ネットワーク・ナノ構造のCARSイメージングを行った。この結果、励起光の波長より遥かに小さい約15nmの空間分解能で、DNAネットワーク構造を可視化することに成功した。このとき、励起光の振動数を、DNAに含まれるアデニン分子に特有の分子振動数(1337cm^<-1>)に共鳴させた.励起光の振動数を変化させて共鳴条件を崩すと、DNAの構造は観察されなかった。すなわち、分子振動選択的な分子ナノイメージングを実現したと言える。本システムは、他のナノプローブテクノロジーでは得られない、分子振動の情報をナノの空間分解能で得ることができる。生体分子試料だけでなく、ナノカーボンや半導体ナノ微粒子などの最先端ナノ材料にも適用可能であり、ナノテクノロジーの発展にたいへん有効なツールとなりうる。
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Research Products
(4 results)