2004 Fiscal Year Annual Research Report
側頭葉IT野における形状視覚情報の時空間符号化メカニズムの解析
Project/Area Number |
04J07757
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
舘 俊太 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | スパイク間間隔 / ISI / TE野 / 視覚野 / 高次統計量 / 刺激選択性 / 時空間符号化 / IT野 |
Research Abstract |
視覚刺激に応答する神経活動のデータ解析を行った。データは1999年に田村弘(現大阪大学助教授)により記録されたものを用いた。これは、麻酔下のサルに単純図形及び自然画像を含む64種類の視覚刺激を提示し、高次の視覚領野であるTE野について神経細胞の活動を細胞外電位記録したものである。本研究においては神経細胞のスパイクデータをISI(inter-spike interval,スパイク間間隔)に変換し、このISIデータを以下のように解析した。 まず、ISIの時間パターンを可視化するために個々の細胞のISIデータについてリターンマップを作成した。全細胞についてリターンマップを観察したところ、いくつかの特徴的なパターンが見られ、細胞の発火パターンには数種類のグループが存在することが示唆された。 次にISIの4次までの高次統計量についてヒストグラム及び散布図を作成し、特徴的な分布の偏りがないか、分布が複数の群に分かれないかどうかを調べた。いくつかの統計量については細胞が二群に分かれていることが示された。これは神経細胞の膜の性質が二群で異なっており、その違いが統計量の違いにも反映されているものと考えられた。 次に、ISIの分布の形状について解析を行った。ISIの分布には大きく分けて単一のピークを持つ細胞と、複数のピークを持つ細胞があり、全細胞について調べると分布上のピークの出現位置には有意な偏りがあった。 これらの結果は細胞膜や局所神経回路の性質によって神経細胞がいくつかのグループに分かれていることを反映していると考えられる。性質の異なる神経細胞が、それぞれ異なる役割をもって視覚刺激の符号化に関わっていると考えている。現在はこれら細胞の特性の違いと細胞の刺激選択性との関係について解析を進めている。 また、本年度の成果をまとめ、2005年9月の神経回路学会全国大会等にて発表することを予定している。
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