2006 Fiscal Year Annual Research Report
側頭葉IT野における形状視覚情報の時空間符号化メカニズムの解析
Project/Area Number |
04J07757
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
舘 俊太 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | スパイク間間隔 / 視覚野 / TE野 / 時間周波数解析 / 主成分分析 / 独立成分分析 / ガンマ波 / 刺激選択性 |
Research Abstract |
サルの高次視覚領野であるTE野の形状情報表現の解析を行った.特に前年度に自発発火パターンによって分類した5つの細胞タイプのうち抑制性のFast-spiking cellと見られるタイプ(以下FSCタイプ)の特性に着目した. 1 TE野の活動を変調させる主要な視覚特性が何であるか調べた.64個の視覚刺激に対する応答に対して独立成分分析を行い,空間周波数,輝度コントラスト,輪郭の曲率の主に3つの特性によって細胞集団の活動が変調していることが分かった.またFSCタイプは高い空間周波数に最もよく応答し,刺激を弁別する能力も最も高かった. 2 TE野の細胞集団に対して経時的に主成分分析を行ったところ,細胞のカテゴリー弁別能力は刺激提示300ms後に最も高くなる事が分かった.またFSCタイプにおいては,100ms前後に少数の細胞が高頻度で発火して活動の一つ目のピーク(visual response)を形成し,300ms前後に多数の細胞が中程度に発火して二つ目のピークを形成していた. 3 ウェーブレット解析を用いて発火活動の時間-空間周波数解析を行ったところ,FSCタイプでのみγ帯である40Hzを中心とする刺激誘発性の活動が見られた. 以上のように抑制性であるFSCタイプの活動が,視覚形状の細かな認識に重要であることが分かった.また同タイプの300ms前後の活動は多数の細胞が協同して細かな形状情報を表現する期間と見ることができる.この結果はTE野を階層的連想記憶回路とする岡田らのモデルにも対応する.また注意や知覚形成を担うと考えられているγ帯活動に同タイプが関与することも示唆された.本成果は第一回ブレインコミュニケーション研究会(2006年10月),第29回神経科学大会(2006年9月),第35回生理研コンファレンス(2006年7月)等の国内・国際学会にて発表し,論文誌に投稿すべく準備中である.
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