2005 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病遺伝子の遺伝子間ならびに遺伝子・環境間相互作用解明
Project/Area Number |
04J07821
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
小林 美里 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 2型糖尿病 / モデルマウス / NSYマウス / 遺伝解析 / コンソミック / コンジェニック / 耐糖能 |
Research Abstract |
自然発症2型糖尿病モデルNSYマウスにおいて、耐糖能関連遺伝子座(Nidd1n,2n,3n)を11番、14番、6番染色体上に同定し、各遺伝子の効果を他の遺伝子から独立させて解析するために各染色体を単独で有するコンソミックマウスを作出して機能解析を進めてきた。マップした3つの耐糖能関連遺伝子座の中で、耐糖能に関して最も強い連鎖を示すNidd1nを有する11番コンソミックマウスは、耐糖能低下、インスリン分泌低下、インスリン抵抗性を示すことから、11番染色体上に強力な糖尿病遺伝子が存在することが直接証明されている。そこで本年度は、11番コンソミック系統より新たに染色体の一部のみを有するコンジェニック系統を3種作出し、Nidd1nの責任遺伝子の存在領域の同定を進めた。 11番染色体コンソミックマウスから作成した3つのコンジェニック系統の血糖値は、空腹時および糖負荷後血糖がC3Hに比し有意な上昇を示し、耐糖能が低下していた。しかし、各コンジェニックの血糖上昇の程度を11番コンソミックと比較すると軽度であった。このことより、3種のコンジェニックは、それぞれの領域に少なくとも1つ以上の責任遺伝子を有することが明らかとなり、11番染色体上にマップした強力な糖尿病遺伝子が複数のコンポーネントにより構成されていることを証明した。この結果は次回、日本糖尿病学会での発表を予定している。 また、11番コンソミックマウスは蔗糖飲水負荷により、体重増加、顕著な耐糖能悪化、インスリン分泌低下、インスリン抵抗性が観察される。今回作成したコンジェニックマウスにおいて庶糖負荷を行なうことにより、環境因子と相互作用する遺伝子の存在領域の限局を開始しており、近年における2型糖尿病患者数増加の一因である環境因子に応答する遺伝子の同定に貢献が期待される。
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Research Products
(1 results)