2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J07829
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 法一 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 脂肪細胞 / アクアポリン / アディポネクチン / グリセロール / インスリン / 糖代謝 / 癌 / 高血圧 |
Research Abstract |
1 アクアポリン・アディポース(aquaporin adipose ; AQPap)ノックアウトマウスの解析 5世代バッククロスしたAQPapノックアウトマウス(AQPap KO)の解析を開始した。AQPapは精巣にも発現しているが本マウスはメンデル遺伝法則に従って誕生し、10週齢までの体重およびPPARγなどの脂肪組織での遺伝子発現は野生型マウス(WT)と差はなかった。摂食および絶食下においてAQPap KOは著明な低グリセロール血症を呈した。この現象は長時間の絶食においてより顕著でありかつ脂肪分解を強力に誘導するβ3-adrenergic agonist投与下の血中FFA上昇は差がなかったが、血中グリセロール上昇はKOで有意に障害されていた。さらに絶食下の脂肪細胞内グリセロール含量がKOで高値であり、AQPapは生体内において脂肪細胞のグリセロールチャネルとして機能していることを実証した。3T3-L1脂肪細胞にRNAiを用いてAQPapをknock-downした系でも脂肪分解時のグリセロール放出が有意に低下していた。次に糖代謝につき検討したところ、絶食下においてKOはWTよりも有意に低血糖を呈したが、インスリン感受性は差がなかった。一方、外因性グリセロールによる糖産生には明らかな差はなく、脂肪細胞由来のグリセロールが糖新生の基質として重要であることも本研究により明らかとなった。 2 アディポネクチン(adiponectin ; ADN)ノックアウトマウスの解析 低ADN血症が乳癌発症のリスクになる臨床報告がある。31週齢のADN KOでは、乳腺組織の癌化までは観察できなかったが、乳腺上皮の過形成がKOで著明に亢進していることを見出した。この機序につき解析を進めている。また、高食塩負荷によりKOはWTよりも有意に血圧の上昇を認めた。ADNの血圧における役割について分子レベルにおける検討を行っている。
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