2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規な蛍光標識法を用いた甲殻類神経ペプチド類の機能、動態および受容体解析
Project/Area Number |
04J07880
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片山 秀和 大阪大学, たんぱく質研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 甲殼類血糖上昇ホルモン(CHH) / 脱皮抑制ホルモン(MIH) / 甲殻類 / N末端特異的修飾 / 蛍光標識 / 神経ペプチド |
Research Abstract |
甲殻類の血糖上昇ホルモン(CHH)と脱皮抑制ホルモン(MIH)のアミノ酸配列には類似性が見られることから、CHH族と呼ばれるファミリーを形成している。これらのホルモンの配列を比較すると、CHHはMIHに見られる12残基目のグリシン残基を欠損している。そこで、クルマエビのCHHにグリシン残基を挿入した変異体を作製し、その生物活性を測定した結果、この変異体は天然型と比較して活性が10分の1程度まで低下していた。このことから、この12残基目のグリシン残基の欠失がCHHとMIHの機能の分化に重要であることが明らかとなった。 これまでに、クルマエビから7種類のCHH族ペプチドが単離、配列解析されてきたが、近年になってそれ以外にもCHH族ペプチドが存在する可能性が他の研究グループによって示された。そこで、クルマエビの眼柄から8番目のCHH族ペプチドを単離した。このペプチドをコードする遺伝子をクローニングした結果、このペプチドは既知のクルマエビのMIHのアミノ酸配列と相同性が非常に高いことが明らかとなりMIH-Bと名付けられた。しかしながら、生物検定の結果、MIH-Bは既知のMIHと比較して10分の1程度の活性しか示さず、またMIH-B遺伝子は主に胸部神経節で発現していた。眼柄切除によって脱皮間隔が短縮されるという過去の知見から、MIHは眼柄内に存在していると考えられており、胸部神経節に主に存在していると予想されるこのMIH-Bが、生体内においてMIHとして機能しているとは考えにくい。現在、MIH-Bの真の機能について検証を進めているところである。 一方、これらの神経ペプチド類を蛍光標識するために、タンパク質分解酵素の逆反応を利用したタンパク質N末端特異的標識法の開発を行った。しかしながら、標識効率が低く、この手法には依然、改善の余地があると考えられる。
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