2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本近代都市における社会的差別形成過程とその政策的対応に関する研究
Project/Area Number |
04J07893
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉本 弘幸 大阪大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 都市社会政策 / 社会事業 / 近代都市史 / 被差別部落 / 在日朝鮮人 / 社会福祉 / 都市スラム / 都市行政 |
Research Abstract |
本年度は史料調査と研究報告を中心に研究活動を行った。史料調査は各地の府県や都市の行政文書・府県会議事の調査、新聞史料の検索を中心に行った。その中でも重点的に京都府及び京都市の行政史料や議会議事録、京都地方の新聞から都市社会政策や都市スラム・被差別部落・在日朝鮮人にかかわる関係資料を網羅的に収集した。その結果、来年以降の研究に利用できる史料の蓄積が非常に豊富になった。また東京などの史料保存機関や図書館に所蔵されている内務省社会局の都市社会政策に対する政策形成やそれにかかわった社会局官僚などに関する史料も収集した。 次に外部の研究会や学会で研究報告を三回行った。第一に現在の日本近代都市史や社会的差別形成論などの研究史整理と理論的検討を行った結果を報告し、新たな視座を得る事ができた。この報告は審査の結果、京都民科歴史部会『新しい歴史学のために』256号に掲載された。第二に米騒動以降の京都府社会事業行政における都市社会事業行政の構造を報告した。これは審査の結果(財)世界人権問題研究センター『研究紀要』10号に掲載予定である。第三に1920年代から30年代にかけての京都市社会事業行政の構造と展開を報告した。この報告は今後投稿予定である。いずれも都市社会政策をめぐる府県・都市行政・地域社会の相互規定関係の把握に重点をおき、単なる個別実証分析にならないように心がけたまた都市下層祉会をテーマにした論文集の書評を執筆し、大阪歴史学会『ヒストリア』193号に審査の結果掲載された。 以上のように今年度は基礎的な実証研究や研究史の理論的検討に研究活動め重点をおいた。
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