2004 Fiscal Year Annual Research Report
パネルデータと税制改正を利用した家族内の所得分布が消費行動に与える影響の実証分析
Project/Area Number |
04J07921
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
山田 憲 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 家計行動 / 税制 / マイクロ計量分析 / 系列 / 日本経済 |
Research Abstract |
まず景気低迷の打開策として考えられる課税に関する制度や政策を評価するために、所得税が家計行動にどのような影響を与えるかを個票データに基づいて実証的に分析した。より具体的に言えば、1990年代に実施された税制改正が家計行動にどのような影響を与えたのかを家計レベルのパネル・データを利用して定量的に測定した。課税が家計の消費や労働供給を促進するかどうか、またどの程度促進させるかということは理論的に結論付けることができない実証課題であり、政策効果を識別することは一般に難しい問題である私が取り組んだ研究成果の一つは、日本経済学会春季大会で報告した"Labour Supply Responses to the 1990s Japanese Tax Reforms"と題する論文にまとめられている。この論文において、私は新しい計量的な手法に基づいて家計経済研究所によって毎年調査が行われている消費生活パネル調査を利用し、90年代の所得税の改正が労働供給行動に与える影響を実証的に分析している。様々な要因を一定とした上で、税制改正が労働供給に与える影響だけを抽出すると、所得課税が既婚女性の労働時間に比較的大きな影響を与えるという結果が得られた。 次に日本経済の低迷の原因として挙げられる高度成長期に称賛された日本的企業システムの非効率性や金融システムの脆弱性を解明するために、系列やメインバンクが企業行動や収益等の結果に与える影響を調べた既存の文献の手法と解釈を計量経済学的な立場から再評価した。この研究は、"Fact or Fable? Misunderstanding or Misspecification? Keiretsu, the Main-Bank System, and the Japanese Economy"と題する論文にまとめられている
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Research Products
(1 results)