2004 Fiscal Year Annual Research Report
構造方程式モデリングと独立成分分析の統合、そして社会科学への応用
Project/Area Number |
04J07933
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 昌平 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 独立成分分析 / 構造方程式モデリング / 非正規性 / 独立性 / 逐次モデル / 探索的分析 / 観察データ / 因果推論 |
Research Abstract |
因子分析やパス解析など多くの多変量解析手法を含む構造方程式モデリング(SEM)は、今や社会科学の分野でスタンダードな方法論となった。事前情報をモデルに積極的に取り込み、そしてそのモデルがデータに適合するかを統計的に評価するという検証的アプローチが、実際に観測することのできない構成概念の検討に威力を発揮したのである。このように今最も有力な統計解析手法となったSEMであるが、そのSEMでも扱えないモデルが当然残されている。その限界の主な理由はSEMが1次・2次統計量しか用いないところにある。 独立成分分析(ICA)は1990年代に情報工学の分野から生まれた新しい手法で、情報理論のフレームワークにおいて観測変数の非正規性を積極的に利用し非正規独立な潜在変数を抽出する。そこでSEMの「事前情報の積極的導入」・「モデルの適合度の評価」という検証的側面とICAの情報理論のフレームワークにおける「非正規性の積極的利用」という側面とを併せ持ち、SEMとICAを統合するような推定のフレームワークを提案することが本研究の目的である。 本年度は特に、SEMによるICAの拡張について議論した。ICAの推定アルゴリズムに関する理論的研究は現在1つの山場を越えたと言えるが、現在提案されているアルゴリズムはすべて、潜在変数が非正規独立であるという仮定のみを用いて推定を行う、つまり「探索的」ICAを行うものである。ここにSEMの特徴である検証的アプローチを導入し、つまり、混合行列に事前情報を積極的に導入することで、非正規性と独立性を生かした新しいモデルを提案した.具体的には、観測変数間の逐次モデルを事前情報を用いずにデータのみから探索するアルゴリズムを考案した。いくつかの国際会議において発表を行い、現在、雑誌論文として査読中である。
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