2005 Fiscal Year Annual Research Report
高圧下での重い電子系のドハース・ファンアルフェン効果の研究
Project/Area Number |
04J07962
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
宍戸 寛明 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 重い電子系 / CeRhIn_5 / 磁性 / 超伝導 / 高圧 |
Research Abstract |
Ce原子は4f軌道に電子を1個もち,局在した4f電子がCe化合物の磁性を担っている.4f電子間には伝導電子を媒介としたRKKY相互作用が働いており,磁気モーメントをそろえ磁気秩序状態を安定化させる.一方で,伝導電子と4f電子が混成し,磁気モーメントを消失させる近藤効果も同時に働いている.RKKY相互作用と近藤効果は互いに競合している.RKKY相互作用と近藤効果が拮抗し磁気秩序温度がOKになる点を量子臨界点と呼ぶ.量子臨界点近傍では大きな有効質量をともなう異方的超伝導が発現する場合がある。CeCoIn_5は量子臨界点近傍の物質で,重い電子系超伝導体であり常圧で超伝導転移温度T_<sc>=2.3Kである.これに対して同じ結晶構造をもつCeRhIn_5は常圧では反強磁性体であるが圧力下で反強磁性が消失し超伝導を示すことが報告されている.この圧力誘起超伝導体CeRhIn_5の圧力下でのフェルミ面の性質の変化を調べるため,圧力下ドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果の測定を行った.フェルミ面は超伝導が現れ始めるP^*=1.6GPa以上でも変化せず,4f電子を持たないLaRhIn_5のフェルミ面と同じであった.しかし,サイクロトロン質量は急激に上昇し始める.ところが,超伝導転移温度が最大値をとる圧力P_c=2.4GPaを境として,そのフェルミ面はLaRhIn_5と同じフェルミ面から4f電子が遍歴状態をとるCeCoIn_5と同じフェルミ面に急激に変化することを実験的に発見した.サイクロトロン質量もP_cで最大値をとりβ_2ブランチで60m_0にも達する.それより高圧すなわち量子臨界点を超えるとサイクロトロン質量は緩やかに減少する.これはCeCoIn_5のサイクロトロン質量が加圧とともに緩やかに減少する実験結果に一致する.以上のことから,臨界圧力P_cが量子臨界点となっており,P_cを境にしてCeRhIn_5の4f電子は局在から遍歴へと変貌すると結論した.
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Research Products
(2 results)