2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J07971
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 悦子 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非線形シグマ模型 / Wilson的繰り込み群 / large-N展開 |
Research Abstract |
非線形シグマ模型は、運動項の係数が場に依存しており、その係数関数は、場が値をとるターゲット空間の計量テンソルをして解釈できる。2次元の非線形シグマ模型は摂動論的に繰り込み可能であり、その結果、β関数はターゲット空間のリッチテンソルに比例する。しかし、非摂動論的なWilson的な繰り込み群を用いて得られた非摂動論的なβ関数は場の異常次元に比例した新しい項が加わる。そこで、その非摂動論的なβ関数のゼロ点をして定義される固定点の理論を構成した。この理論には、異常次元に対応する一つの任意なパラメータが入っており、ターゲット空間が複素1次元のとき、その固定点の理論のターゲット空間はWittenによって提唱された2次元ユークリッド的ブラックホール解になっていることを調べた。 一方で3次元の非線形シグマ模型は、摂動論的に繰り込み不可能である。そこで、非摂動論的なWilson的繰り込み群の方法でいくつかの超対称性をもつ3次元非線形シグマ模型の繰り込み可能性を議論した。Wilson的なアプローチでは、繰り込み可能であることは紫外固定点が存在することと等価である。 さらに、別の非摂動論手法であるlarge-N展開を使って、Wilson的繰り込み群の方法で得られた紫外固定点を再確認した。また、Wilson的繰り込み群て得られたβ関数の固定点として定義できる新しい共形場の理論を構成した。この理論は、一つの自由なパラメータをもっており、CP(N)模型の紫外固定点を赤外固定点の両方を含んでいることがわかった。
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