2004 Fiscal Year Annual Research Report
超低速イオンを用いたFIB誘起ダメージ層の除去による原子レベル表面・界面構造解析
Project/Area Number |
04J08002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下藤 潤平 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低速イオン / 連続照射 / 表面・界面荒れ / FIB誘起ダメージ層 / GaAs / 断面TEM観察 |
Research Abstract |
本研究では,超低速イオン(100eV以下)を用いた断面TEM観察用試料作製法の確立と,デバイスの原子レベルでの表面・界面構造評価への応用を目的とする.本年度は,低速イオンのエネルギー分布を調べた.また,GaAs試料へ25keV Ga^+-FIB照射を行い,試料表面に形成されたFIB誘起ダメージ層へ,200-100eV Ar^+イオン連続照射及び100eV Ar^+イオンのみを照射してFIB誘起ダメージ層の除去を行った.これまでに得られた研究成果は,以下の通りである. 1.阻止電場型エネルギー分析器を試作し,200,100及び50eV Ar^+イオンのエネルギー分布を調べた.その結果,測定したエネルギー分布から,各々のエネルギー分布のピークエネルギーと加速電圧で設定した入射エネルギー間の差が小さいことを確認した. 2.200-100eV Ar^+イオン連続照射により,厚さ〜35nmのFIB誘起ダメージ層が〜2nmに除去できていることを確認した.また,200eV Ar^+イオン照射後と比べると,100eV Ar^+イオン照射後では表面・界面の荒れがさらに除去できており,連続照射がFIB誘起ダメージ層の除去に対して有効であることを確認した. 3.100eV Ar^+イオン照射のみによるFIB誘起ダメージ層の除去では,同一試料内において表面・界面が荒れた部分と平坦な部分が存在することが分かった.FIB照射なしで100eV Ar^+イオンをGaAsへ照射した場合は,200eV Ar^+イオン照射した場合と比べて,平坦な表面・界面が得られることを確認していることから,100eV Ar^+イオン照射のみによる除去では,FIB照射後の表面・界面荒典及びFIB誘起ダメージ層を試料全体にわたって完全に除去することができないことが分かった.
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