2004 Fiscal Year Annual Research Report
水素分子のオルソ・パラ転換を伴う表面動的過程の制御と設計
Project/Area Number |
04J08013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
RIFKI Muhida 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オルソ・パラ転換 / 固体表面 / 水素分子 / クラスター / Fe(OH)_3 / 磁気モーメント / 遷移金属-ベンゼン・デックドサンドイツチクラスター |
Research Abstract |
水素分子のオルソ・パラ転換の動的量子過程に関する理論的研究を行うにあたり、本年度は、触媒として実用に供されているFe(OH)_3系および、新しいナノ構造として人工的に作成されつつあるM(C_6H_6)_2(M=Mn, Fe, Co)遷移金属-ベンゼン・デックドサンドイッチクラスターの系をとりあげた。 Fe(OH)_3の電子状態とそれによる水素分子のオルソ・パラ転換過程について解析した結果、水素分子の配向がFe(OH)_3クラスター平面に対して垂直に近い場合の転換確率は平行に近い場合よりも大きくなることを見出した。特に入射並進運動エネルギーが350meV付近で、転換確率は最大となり、その時両者の差異は一桁近くに達することを見出した。このような転換確率の分子配向依存性を決定する要因として、クラスターに不均一に分布する電子のスピンと水素分子の核スピンとが接触する幾何学的配置関係が重要であることを指摘した。 つぎに、M(C_6H_6)_2遷移金属-ベンゼン・デックドサンドイッチクラスターの電子状態と、それによる水素分子のオルソ・パラ転換過程について解析した。挟まれる遷移金属MがMn, Fe, Coの場合を比べた結果、磁気モーメントはFeの場合が最も大きく、スピン密度分布の不均一性はMnの場合が最も大きくなることを見出した。転換確率は、Mnの場合が最も大きく、この触媒作用には磁気モーメントの絶対的な大きさではなく、スピン密度分布の不均一性こそが重要であるという知見を得た。
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Research Products
(4 results)