2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08033
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
高田 健治 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光重合反応 / 2光子吸収 / 加工分解能 |
Research Abstract |
1.異なった組成を持つ光硬化性樹脂を用いて,近赤外フェムト秒レーザー光照射による光重合反応の硬化特性を調べた.ラジカル重合で硬化する光硬化性樹脂(SCR-500,JSR Co. Ltd)と,SCR500にラジカル末端の拡散を防ぐ禁止剤を0.8wt.%添加した樹脂と,SCR500に2光子吸収断面積の大きい光重合開始剤を0.1wt.%添加した樹脂を試料として用いた.近赤外フェムト秒レーザー(波長780nm,パルス幅80fs,繰り返し周波数82MHz)を開口数1.4の対物レンズを用いて樹脂内に集束照射し,入射光強度,露光時間を変化させて樹脂を点硬化させた.入射光強度が10.5mWの場合,硬化スポットの大きさはそれぞれ150nm,100nm,450nmであった.これより,禁止剤を添加することが加工分解能向上に有益であるという知見を得た. 2.光重合反応の反応速度は系の温度に依存する.系の温度が加工分解能に与える影響を調べるため,温度制御可能なステージを組み込んだ実験装置を構築した.試料はSCR500を用いた.樹脂をカバーガラス上に滴下し,顕微鏡用冷却・加熱ステージ(LK-600,ジャパンハイテック株式会社)の試料載板に固定した.冷却・加熱ステージにより樹脂の温度を-60℃から80℃まで変化させた,開口数0.55の対物レンズを用いて近赤外フェムト秒レーザー光を集光し,入射光強度一定の元で露光時間と樹脂の温度を変化させ樹脂を点硬化させた.露光時間が32mS以上の場合,樹脂の温度上昇に伴い硬化スポットのサイズが減少した.これは樹脂の温度上昇によって,ラジカルの連鎖移動反応に伴う重合停止反応が支配的になったためだと考える.しかし,実験系で得られた最小の硬化スポットのサイズは温度に依存しなかった.これより,系の温度は加工分解能に大きな影響を与えないという知見を得た.
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Research Products
(2 results)