2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08066
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
関 宗俊 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光誘起磁性 / スピネル型フェライト / ガーネット型フェライト / 遷移金属酸化物 / パルスレーザー蒸着 / 光磁気メモリ / クラスターグラス / 薄膜 |
Research Abstract |
本研究では、従来の熱書込み式光メモリに代わる新しい光直接書込み式(フォトンモード)光メモリ創製に向けて、室温において、光で直接磁性を制御可能な物質を創製するとともに、その光磁性の発現機構を解明し、優れた光磁性材料創製のための物質設計指針となる基礎的知見を得ることを目指した。 1.スピネル型フェライト薄膜における光誘起磁性 パルスレーザー蒸着法により、スピネル型フェライト(Ni, Zn, Ti)_3O_4薄膜を作製し、そのクラスターグラス特性と光誘起磁性について検討した。スピン凍結温度は、Zn^<2+>のイオン配置および酸素欠損量に強く依存することを見出し、各種成膜条件を最適化することにより、この物質系において、最高250Kのスピン凍結温度を実現した。また、光照射により、スピン凍結温度以下において、グラス相が融解し磁化が増大することを発見し、この現象の起源が、価数揺動を持つイオン間の光誘起電子移動Ti^<4+>Fe^<2+>→Ti^<3+>+Fe^<3+>であることを、詳細な分光測定により突き止めた。更に、これらの知見を応用して、(Al, Ru, Fe)_3O_4薄膜を作製し、この物質系において、350Kのスピン凍結温度と300Kでの光誘起磁性を実現することに成功した。 2.ガーネット型フェライト薄膜における光誘起磁性 1で得られた知見を、巨大磁気光学効果が期待できるガーネット型フェライトに応用し、(Bi, Y)_3(Al, Fe, Si)_5O_<12>薄膜において、室温を遥かに超えるスピン凍結温度(390K)と室温光誘起磁性、および巨大磁気光学効果を同時発現する物質の創製に成功した。この物質は、光磁性を光照射前後での磁気光学効果の差で読込可能なフォトンモード光メモリへの応用が十分可能であると考えられる。 以上のように、本研究では、新しい室温光磁性体の創製に世界で初めて成功するとともに、その光誘起磁性の機構を完全に解明した。
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Research Products
(3 results)