2005 Fiscal Year Annual Research Report
渦鞭毛藻由来天然物アンフィジノール類の形成するチャネル様超分子のNMRによる解明
Project/Area Number |
04J08094
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蓬臺 俊宏 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 渦鞭毛藻 / アンフィジノール / 膜 / NMR |
Research Abstract |
アンフィジノール類は渦鞭毛藻Amphidinium klebsiiが生産するポリエン・ポリオール化合物であり、非常に強力な抗真菌活性を有している。昨年度は、アンフィジノール類の活性は脂質二重膜中でイオン透過性チャネルを形成することによって発現していることを解明した。また、より詳細な活性発現機構の解明を目指したSDSミセル中での配座解析を行ったが分子全体の配座を決めることはできなかった。今年度は、より生体膜に近いバイセルをモデル膜として用いることでアンフィジノール3の配座解析を行った。ミセルは高分解能のNMRスペクトルが得られることから数多くの膜ペプチドやタンパク質の配座解析に用いられてきたが、非常に曲率が大きく生体膜を正確に再現しているとは考えられない。一方、バイセルはリン脂質からなる平面膜部分とその縁を界面活性剤でキャッピングされた集合体で、生体膜を再現したモデルと言える。用いたバイセルは、平面膜部分には脂肪鎖の長いリン脂質の(DMPC)を、縁部分には脂肪鎖の短いリン脂質(DHPC)からなるものを用いた。バイセルの大きさはq(=DMPC/DHPC)で定義され、磁場に対して配向せず、かつ高分解能のスペクトルが得られるq=0.5のバイセルを用いた。このバイセルにアンフィジノール3を再構築させた試料を調製し、各種NMRスペクトルを測定した。しかし、NOESYスペクトルを測定した結果、得られたNOEはミセル中で得られたそれとほとんど同じであったことからミセル中と同じ配座を取っていると考えられる。また、アンフィジノール分子がバイセルの平面膜部分に存在しているかどうか調べるため分子間のNOEでも観測できるGOESYスペクトルを測定したところ、DMPCとのみNOEが観測されたことから平面膜部分に存在していることが確認できた。
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