2004 Fiscal Year Annual Research Report
鉄硫黄クラスター形成に関与する蛋白質の構造生物学的研究
Project/Area Number |
04J08161
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下村 喜充 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 鉄硫黄クラスター / 構造生物学 / ISC |
Research Abstract |
鉄硫黄クラスターは数個の非ヘム鉄と無機硫黄からなる蛋白質補因子で、さまざまな生命活動において主要な働きをしている。細胞内での鉄硫黄クラスター形成を担うISC蛋白質群のうち、IscUはin vitroで不安定な鉄硫黄クラスターを結合することが知られており、鉄硫黄クラスター形成の足場として機能すると考えられている。本研究では、鉄硫黄クラスターが結合した状態でのIscUの結晶構造解析を行い、鉄硫黄クラスターがこの蛋白質の内部でどのように組み立てられ、どのように標的蛋白質に受け渡されるのか理解することを目的としている。 結晶化に先立ち、IscUの鉄硫黄ク・ラスターの安定化を試みた。超好熱菌Aquifex aeolicus由来のIscUを大腸菌で発現、精製したところ、鉄硫黄クラスター特有の色を呈した試料が得られた。大腸菌由来のIscUは同様の実験でほぼ無色の状態で得られるため、A.aeolicus由来のIscUはより安定な鉄硫黄クラスターを持つと考えられる。さらに、A.aeolicus由来IscU「に既知の鉄硫黄クラスター安定化変異(D38A)を導入し、同様に発現、精製を行った。この変異型IscUも、鉄硫黄クラスター特有の色を持った状態で得られたが、野生型のものとは精製時の挙動や吸収スペクトルが異なっていた。このことから、変異型IscUは野生型とは会合状態や鉄硫黄クラスターの種類が異なっていると考えられる。現在、IscUにランダムに突然変異を導入し、大腸菌のコロニーの色をもとに、さらに安定な鉄硫黄クラスターを結合する変異蛋白質の選別を試みている。
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Research Products
(1 results)