2004 Fiscal Year Annual Research Report
造血及びアポトーシスにおける染色体DNA分解の生理作用
Project/Area Number |
04J08174
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
岡部 泰賢 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNasell / インターフェロン / マクロファージ / 造血 |
Research Abstract |
造血の過程において、マクロフアージのリソソームに存在するDNasellは赤血球前駆細胞から脱核したDNAを分解する。DNasellを欠損するマウスは、胎仔肝において赤芽球由来と考えられる核DNAをマクロファージが未分解の状態で大量に蓄積し、胎仔は胎生後期に重度の貧血を伴い死滅する。さらにこの胎仔肝では、自然免疫のサイトカインであるIFN-βが構成的に発現されていた。そこでDNasell欠損マウスが貧血により胎生期に死滅することと、IFN-β遺伝子の活性化との因果関係を明らかにするために研究をおこなった。 DNasell欠損マウス胎仔肝においてIFN-βを産生する細胞を同定する目的で、MACSによる細胞分画、及びIFN-βに対するin situ hibridizationを行った。その結果、分解の核DNAを蓄積したマクロファージがIFN-βを産生している事が明らかになつた。次に、90%以上が赤芽球である胎仔肝から調製した細胞をIFN-β存在下で培養すると、濃度依存的に細胞増殖が抑制された。一方IFN-γには赤芽球に対する顕著な増殖抑制作用は認められなかった。このことから、DNAを蓄積したマクロファージが産生するIFN-βが周囲に存在する赤芽球に作用し造血を抑制した結果、胎仔が貧血に陥った可能性が考えられた。そこで、IFN-βの受容体であるタイプ1IFNレセプターとDNasell遺伝子を共に欠損するマウスを作製したところ、このマウスはDNasell欠損マウスにみられた貧血が認められず、メンデルの法則に従い出生した。DNasell遺伝子の欠損はマウス胎仔に致死的に作用する。この致死作用はDNAを蓄積したマクロファージが産生するIDN-βがIFNレセプターを介して引き起こす作用であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)