2004 Fiscal Year Annual Research Report
眼の形成における組織間相互シグナルを転写調節因子SIP1のレンズでの働きから探る
Project/Area Number |
04J08207
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
好本 あき 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | SIP1 / Smad / レンズ / Foxe3 / BMP / 転写調節 / Cre / クリスタリン |
Research Abstract |
SIP1(Smad-interacting protein 1)はN末端とC末端側にzinc fingerクラスターを、その間にSmad結合領域とホメオドメインを持つ転写制御因子である。SIP1はマウス胚で、レンズ形成の初期から発現しており、レンズ発生に関与していると考えられる。KOホモマウスは眼が形成される以前のステージで致死であるため、Cre-loxPシステムを用いてレンズ特異的にSIP1遺伝子を欠失させた。 Pax6のレンズエンハンサーを用い、レンズ特異的にCreを発現するトランスジェニックマウス(Pax6-Cre)を作成した。これとSIP1遺伝子にloxP配列を組み込んだマウス(SIP1flox)をかけあわせることにより、SIP1をレンズ特異的に欠失させた。 レンズ特異的SIP1欠失胚のレンズでは、主に次のような症状がみられた。 1.レンズ繊維が伸長しない。各種クリスタリンの発現をしらべたところ、レンズ上皮、繊維両方で発現するαクリスタリンの発現は維持されていたが、レンズ繊維に発現するはずのγクリスタリンの発現は失われていた。 2.2.レンズが角膜とつながったままになる。このような症状は、転写因子Foxe3の変異マウスにも見られる。SIP1を欠失したレンズでは、Foxe3の発現は失われていた。さらに、FoxE3変異マウスで発現が低下するPDGFresepterαの発現も低下しており、Foxe3がSIP1の下流で働いていることが示された。 3.SIP1を失ったレンズでは細胞死が多くみられた。 以上のことから、SIP1はレンズにおいて、レンズ繊維でのγクリスタリンの発現に必要であること、Foxe3などを介してレンズ胞が外胚葉からくびれきれるのに必要であること、また、レンズ細胞の生存に必要であることがわかった。
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