2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08238
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 勇樹 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 進化分子工学 / ランダム配列ポリペプチド / ファージの感染能 / 蛋白質の適応度地形 / NKモデル |
Research Abstract |
1つのアミノ酸配列から「新しい機能」を持つ蛋白質へ進化する可能性について調べることを目的とした。方法として、ファージディスプレイ法を採用した。進化の影響を受けていないアミノ酸配列として、1つのランダムなアミノ酸配列を初期配列として、ファージの感染に関与するドメインを、このランダム配列ポリペプチドで置換した初期ファージfd-RPを作成した。fd-RPの感染能は、感染に関与するドメインを欠損したファージと同程度であった。このファージのアミノ酸置換部位にのみ、変異を導入し、多数の変異体ファージを作成し、感染能の高いファージを選択する、この変異と選択を繰り返すことで、約1.7×10^4倍の高い感染能を示す変異体ファージを選択することができたが、野生型ファージに比べ、数千倍と感染能は低かった。 変異と選択からなる蛋白質の進化の過程を考えるために、蛋白質の適応度地形の概念はよく使われる概念である。適応度地形において、蛋白質の進化は、適応度地形の適応歩行と考えることができる。この適応歩行の過程は、適応度地形の形状が大きく影響していることが考えられる。従って、蛋白質の進化を考えるために、適応度地形の形状を知ることは必要である。そこで、進化実験の過程から、適応度地形の形状を抽出することが可能なモデルの構築を行い、進化実験の結果を解析することで、実験的に適応度地形の形状を描くことができた。得られた適応度地形の形状から、適応度の低いランダムなアミノ酸配列から、変異と選択による適応歩行を行うと、ある程度までは進化可能ではあることが示された。しかし、変異-淘汰-浮動平衡による定常状態の存在と、局所的な山頂(ローカルピーク)の存在により、ランダムなアミノ酸配列から、変異と選択により、野生型のように適応度の高いアミノ酸配列への進化が困難であることが適応度地形の形状から示された。
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