2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08238
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 勇樹 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 進化分子工学 / ランダム配列ポリペプチド / ファージの感染能 |
Research Abstract |
天然蛋白質が生体内で発揮している様々な機能は、進化の過程で獲得された性と考えられる。では、進化できるアミノ酸配列には制約があるのだろうか?そこで、本研究では、無作為に選んだ1つのアミノ酸配列の進化する可能性を問う。膨大なアミノ酸配列の中から無作為に選んだ1つのアミノ酸配列からでも進化しうることを示すことで、任意のアミノ酸配列からでも進化できることを強く示唆できると考えられる。 具体的な方法として、ファージディスプレイ法を使った、変異と選択からなる進化分子工学的手法を採用した。繊維状ファージ(fd-tet)のマイナーコート蛋白質G3PのN2ドメインが大腸菌のF繊毛に吸着することが大腸菌への感染を開始する。そこで、この啓染に関与するドメインをランダムなアミノ酸配列を持つポリペプチドに置換した変異体ファージ(fd-RP)を作成したところ、fd-RPの感染能は大きく低下した。このfd-RPのランダム配列部位にのみ変異を導入した約10種からなる変異体ファージライブラリを作成し、このファージライブラリの中から感染能が最も高いファージクローンを選択し、選択されたファージクローンのランダム配列部位に変異を導入して同様にファージライブラリを作成した。変異と選択を7回繰り返した結果、感染能は約240倍増加した。次に、より大きなファージライブラリを利用できる選択系の構築を行い、選択に用いるファージライブラリのサイズを段階的に拡大し選択を行った。その結果、初期変異体ファージfd-RPの感染能の数万倍の感染能を示すファージライブラリを選択することができた。この結果から、無作為に選んだ1つのアミノ酸配列からでもより高い機能を持つポリペプチドへ進化しうることがわかった。
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