2004 Fiscal Year Annual Research Report
マンガン酸化物薄膜における光テラヘルツ波機能の創製
Project/Area Number |
04J08334
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
高橋 宏平 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マンガン酸化物 / テラヘルツ / 光誘起相転移 |
Research Abstract |
本研究では,次世代強相関エレクトロニクス新材料として期待されているマンガン酸化物のテラヘルツ領域における電荷ダイナミクスを明らかにすると伴に,極短光パルス電荷変調,スピン変調による新規物性の発現と制御を試みる事を目的として,Pr_<0.7>Ca_<0.3>MnO_3 (x=0.3)薄膜におけるテラヘルツ電磁波放射特性を測定した. 異なる配向性を示す薄膜における異なるX線回折パターンを示したPr_<0.7>Ca_<0.3>MnO_3薄膜から発生させたテラヘルツ電磁波の強度E_<THz>、の温度依存性を測定し,比較した.その結果,結晶性の良し悪しに関わらず,磁気整列温度T_CでE_<THz>が変化する挙動は観測されたものの,配向性の悪い薄膜では,電荷整列温度T_<CO>における変化が観測されなかった.磁化の温度依存性では,配向性に関わらず,すべての薄膜で同じ依存性を示した事から,やはりT_Cにおける変化は磁化と密接に関連している事を示唆している.一方,Pr_<0.7>Ca_<0.3>MnO_3が示す電荷整列は三次元的な整列であるので,結晶の配向性に強く依存する事が考えられ,T_<CO>における変化は電荷整列と深く関連している事が示唆される. Pr_<0.7>Ca_<0.3>MnO_3光伝導素子にポンプ・プローブテラヘルツ電磁波励起法を適用した.ポンプパルスが入射する直前の時間遅延軸-1-0psの領域でE_<THz>はわずかに減少し,ポンプパルス入射直後の0-1psの領域でE_<THz>は急激に上昇する.その後,約2psの時間スケールでE_<THz>は指数関数的に減少し,続く10-80psの時間遅延領域ではE_<THz>は緩やかな振動を示した.この結果は,レーザー照射により電荷整列相が二時的に融解し,それによって格子の変調が誘起され,コヒーレントフォノンが励起された事を示唆している.
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Research Products
(3 results)