2005 Fiscal Year Annual Research Report
マンガン酸化物薄膜における光テラヘルツ波機能の創製
Project/Area Number |
04J08334
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
高橋 宏平 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マルチフェロイックス / テラヘルツ |
Research Abstract |
本研究では,次世代強相関エレクトロニクス新材料として期待されているマンガン酸化物を始めとしたマルチフェロイックスと呼ばれる強磁性強誘電材料のテラヘルツ(THz)領域における電荷ダイナミクスを明らかにするとともに,超高速光パルス照射による新規物性の発現と制御を試みる事を目的とする.今回我々は室温で反強磁性強誘電性を示すマルチフェロイックBiFeO_3に対して,エネルギーギャップ以上の光子エネルギーを持つフェムト秒レーザーパルスを照射する事でTHz電磁波が発生する事を見出した. PLD法を用いてLSAT基板上に成長させたBiFeO_3薄膜上にギャップ幅10μmの金伝送線を持つダイポール型光伝導素子を作製した.2.5eV程度の光学ギャップを持つBiFeO_3の電荷励起には,Ti:Sapphireレーザー(中心波長800nm,繰り返し周波数82MHz,パルス幅100fs)の第二高調波(波長400nm)を利用した.通常,光伝導素子を利用したTHz電磁波発生では,素子に外部電圧を印加している必要があり,その電磁波放射強度はバイアス電圧に比例し,ゼロバイアス下においてTHz電磁波の発生は観測されない.しかし,BiFeO_3薄膜上に作製した光伝導素子においては,0VにおいてもTHz電磁波の発生が観測された.さらに,異なる方向に分極処理を施す事で,0VにおけるTHz電磁波の位相が反転する事が分かった.この振る舞いは,強誘電体において特有であるメモリー効果がTHz電磁波という形で現れている事を示している.また,BiFeO_3薄膜から放射されたTHz電磁波強度のバイアス電圧依存性を測定したところ,強誘電体において特有の分極ヒステリシスカーブと類似する振る舞いが観測された.これらの特性は,THz電磁波がフェムト秒レーザー照射によるBiFeO_3薄膜の自発分極の超高速変調により発生している事を示唆している.
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Research Products
(1 results)