2004 Fiscal Year Annual Research Report
キラルな励起CT錯体を経由する新しい不斉光反応制御法の開発
Project/Area Number |
04J08384
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斉藤 秀明 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 電荷移動(CT)錯体 / 光不斉反応 / [2+2]環化反応 / 光異性化反応 / 圧力効果 / 温度効果 / 溶媒効果 / 励起錯体 |
Research Abstract |
今年度の研究ではCT励起と直接励起を比較するために最適な系としてスチルベンとフマル酸エステルのジアステレオ区別環化付加反応に注目し、キラルな置換基を導入したフマル酸エステルとスチルベンとのジアステレオ区別環化付加反応において、スチルベンの直接励起と電荷移動錯体を選択的に励起するCT励起とで生成物比ならびにジアステレオ選択性を比較することにより、励起CT錯体とエキサイプレックスの化学的性質、反応性の違いを(1)温度効果、(2)溶媒効果、(3)圧力効果について検討した。 (1)温度効果:基質の直接励起とCT錯体の選択的励起とにおける温度効果は全く異なり、直接励起では温度を下げるに従って生成物のジアステレオ選択性が反転する(逆の立体構造を持つ生成物が優位に生成する)事が明らかとなった。さらにトルエン中-50℃においては、直接励起とCT励起とで全く逆の生成物立体選択性を示し(直接励起では-53%de、CT励起では52%de)、単純に励起モードを変えることにより生成物の立体選択性を制御できる事を明らかとした。 (2)溶媒効果:トルエン中と同様に、ジエチルエーテル中でも同様に両励起モードにおける温度効果を検討した結果、同様の温度依存性が見られた。このことから反応機構は溶媒に依らず同一の機構がそれぞれの励起モードにおいてはたらいている事を明らかとした。 (3)圧力効果:高圧化では予想されるようにCT錯体が効率よく生成されるものの、生成物の立体選択性には直接、CT励起ともに圧力を変える事による変化は見られなかった。このことから高圧化では立体選択性を変えることなく、CT錯体のみをより効率よく選択的に励起する事が可能である事を明らかとした。
|
Research Products
(3 results)