2005 Fiscal Year Annual Research Report
キラルな励起CT錯体を経由する新しい不斉光反応制御法の開発
Project/Area Number |
04J08384
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 秀明 大阪大学, 大学院・工学研究, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電荷移動(CT)錯体 / 光不斉反応 / [2+2]光環化反応 / 光異性化反応 / 温度効果 / 溶媒効果 / オゾン / 一重項酸素 |
Research Abstract |
今年度の研究では、CT励起と直接励起を比較するに当たって最適な系であるスチルベンとフマル酸エステルのジアステレオ区別環化付加反応について、特に、(1)経時変化(2)スチルベン異性体の反応への影響について検討を進めた。 (1)経時変化:環化付加生成物の生成物比ならびにジアステレオ選択性は、光照射時間によって大きく変化する事が明らかとなった。特に生成物のジアステレオ選択性は照射時間と共に大きく減少し、さらにこの傾向は直接励起においてより顕著に見られることが明らかとなった。反応のごく初期段階での選択性を検討するために、照射時間が0分での外挿値を用いてジアステレオ選択性について比較・検討を行った結果、直接励起の場合では以前に報告したように大きな温度効果がジアステレオ選択性に見られたのに対して、CT励起の場合には温度効果がほとんど見られなかった。この事は、CT励起では基底状態での電荷移動(CT)錯体の生成比がジアステレオ選択性に大きく反映されていることを強く示唆していると考えられる。 (2)次に(Z)-スチルベンとフマル酸エステルの光反応について検討した。結果、(E)-スチルベンを用いた時と比較して、全く逆のジアステレオ選択性を示す事が明らかとなった。つまり、アルケン部のcis-trans構造の違いのみによって、ジアステレオメリックな生成物を作り分ける事が可能である事を初めて明らかとした。 さらには、コロンビア大学Nicholas J. Turro教授との共同研究により、レーザー光を用いた励起種の発光・寿命の解析を行った。以上の結果は下記の雑誌論文に発表したのと共に、Molecular Chirality 2005,Pacifichem 2005などの国際学会においても発表を行った。
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Research Products
(4 results)