2005 Fiscal Year Annual Research Report
異種金属相互作用に基づく反応活性種の創成と新規反応開発
Project/Area Number |
04J08387
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 隆博 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | インジウム / 複合ルイス酸 / 直接置換 / アルコール / ケイ素求核種 / ハロゲン化ケイ素化合物 / アリル化 |
Research Abstract |
様々なケイ素求核種を用いたアルコールの直接脱ヒドロキシ置換反応においてInCl_3-Me_3SiBr複合ルイス酸触媒がヘキサン中極めて有効であることを見出した。今回基質の適応範囲を広げることに成功し、InCl_3-Me_3SiBr相互作用をNMRスペクトルによる解析に成功した。 具体的な検討例 1.組み合わせの検討 アリルトリメチルシランを用いた1-フェニルエタノールの直接アリル化において様々なInX_3(Xは共役塩基)やMe_3SiXの組み合わせについてスクリーニングを行ったところ、InCl_3とMe_3SiBrの組み合わせが最も活性が高かった。 2.基質展開 ・フェロゼニル基やフェノールを含むアルコールのアリル化、またケトンとアルコールの競争反応など、他の官能基に影響を与えることなくアルコール部位のみのアリル化に成功した。 3.求核種検討 アリル化以外に、シンナミル化、プレニル化、メタリル化、アレニル化、アルキニル化を達成した。さらに、アレニルメチルシランを用いることによりジエンの合成も達成した。 4.NMR実験による反応機構の解明 InCl_3とMe_3SiBrをMeCN中混ぜるとMe_3SiClが発生し、ブロードニングしたピークが^<29>SiNMRにより得られた。Me_3SiBrとAlCl_3もしくはBF_3・OEt_2を組み合わせた場合、このブロードニングは得られなかったことから本系は特殊な相互作用が生じていることが分かった。 AlCl_3もしくはBF_3・OEt_2とMe_3SiOMeの組み合わせをMeCN中観察するとハロゲンの交換が起こった。一方、InX_3とMe_3SiOMeの組み合わせではハロゲンの交換は全く起こらなかった。これは、InX_3の低い親酸素性を示している。 これらのことから本系は、ケイ素上のハロゲンの配位をインジウムが受けることにより強力なルイス酸としてアルコールと作用していると考えられる。
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Research Products
(1 results)