2005 Fiscal Year Annual Research Report
電子移動触媒を利用した高効率高選択的不斉触媒反応の開発
Project/Area Number |
04J08398
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
湯浅 順平 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電子移動 / 不斉 / 金属イオン / ルイス酸 / ダイマーラジカルアニオン / ESR / 集合化 / 電子アクセプター |
Research Abstract |
生体内のエネルギー変換システムでは光合成反応中心やATP合成酵素などの生体内で集合化して高い機能を有する高次の組織体が重要な役割を果たしている。これらの高次の集合体には構造全体に大きなキラリティーが存在している。このキラリティーは、これらを構成するブロック構造が非共結合有性相互作用で集合化することで発現している。電子移動還元により生成するラジカルアニオン種の場合も集合化によりキラリティーが発現することが考えられる。しかし、これまでラジカルアニオン種の集合化によりキラリティーを発現させた例はない。本研究では電子移動を利用して非共有結合性の相互作用により金属錯体とラジカルアニオン種とを集合化させることによってキラリティーを有する高次集合体の形成について検討した。その結果、本来キラリティーがないp-ベンゾキノン類とp-ベンゾヒドキノン類の組み合わせに、キラル配位子を有するスカンジウム錯体を加えると、均化反応が進行し、キラリティーを持ったπ-ラジカルアニオンダイマー錯体が生成することを見出した。このπ-ラジカルアニオンダイマー錯体は可視光長波長領域に強い円二色性(CD)を示す。キラル配位子としては[R-(R, R)]-2,6-ビス(4,5-ジヒドロ-4-フェニル-2-オキサゾリル)ピリジン[(R)-pybox]を用いた。またこのπ-ラジカルアニオンダイマー錯体の励起状態寿命は数4psである。本研究では電子移動を利用することにより非共有性相互作用の導入によってキラリティーを発現することに成功した。
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