2005 Fiscal Year Annual Research Report
多成分連結反応のためのポリメタル化ペプチド錯体触媒の創製
Project/Area Number |
04J08401
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
磯崎 勝弘 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属集積 / 自己集合 / 生体分子 / アミノ酸 / ペプチド / ベンズアルジミン / パラジウム / 白金 |
Research Abstract |
金属の集積制御は高次機能触媒や機能性ナノマテリアルを生み出すために重要であり、これまでに自己集合システムを用いてかなりの成果が収められている。我々は多数の金属種の集積様式を制御するために生体分子の有する自己組織化能に着目した研究を行ってきた。特に生体分子の中でもアミノ酸やペプチドは分子内および分子間水素結合を介して自己組織化し、α-ヘリックスやβ-シートといった立体構造を形成するため金属集積型材料のテンプレートとして非常に魅力的である。そこで、我々は配位子にアミノ酸部位を有する金属結合型アミノ酸を利用して金属集積型材料の開発を行った。その結果、側鎖にパラジウムおよび白金が共有結合した金属結合型アミノ酸およびペプチドが水素結合によって自己集合しアミロイド状の繊維構造を形成することを見出した。 具体的には、グルタミン酸の側鎖にベンズアルジミンパラジウムおよび白金錯体が共有結合した金属結合型アミノ酸の設計の合成を行った。これらの金属結合型アミノ酸は有機溶媒中で自己集合によって繊維状構造体を形成し溶媒をゲル化させることを見出した。得られた繊維状構造体はSEMおよびTEM、AFMを用いた構造観察から数10ナノメートルの薄い膜が何層にも重なったベルト状の構造をしていることが分かった。また、赤外吸収スペクトルおよびXRD測定によってβ-シート構造に基づいた超分子構造体が形成されていることを明らかにした。 また、金属結合型アミノ酸を通常のペプチドと同様に脱保護-縮合反応を繰り返すことで金属結合型ペプチドの合成にも成功した。合成した金属結合型ペプチドは外部刺激によって2種類の異なる水素結合様式をスイッチングできることを見出した。その結果、超音波刺激を用いることでパラジウム結合型ペプチドが分子内水素結合から分子間水素結合へと水素結合様式を変化させ超分子集合体を与えることを見出した。
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