2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08420
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀田 崇 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高等植物 / 微小管 / ヒストンH1 |
Research Abstract |
高等植物細胞は中心体のような明確な構造物としてのMTOC(microtubule organizing center ;微小管形成中心)を持たない。そのMTOCは細胞内の様々な場所に分散しており、細胞周期の進行に応じて様々な微小管構築群を見せる。細胞核の表面も高等植物細胞のもつMTOCのひとつである。間期のある時期には細胞核表面から細胞膜に向かって放射状に微小管が形成される。それはあたかも、動物細胞において核近傍に配置される中心体が細胞膜へ向かって放射状に微小管を形成するさまを見ているかのようである。では高等植物細胞の核表面は中心体の代わりをしているのであろうか?それとも中心体とは全く異なる仕組みが核表面にあるのだろうか? 私は、核から放射状に伸びる微小管(以下放射状微小管)の特徴をとらえるため、まずその重合末端を明らかにすることを試みた。動物細胞において中心体から伸びる微小管は、基部側をマイナス端、遠末端側をプラス端としチューブリンの重合・脱重合はプラス端側で起こる。タバコ培養細胞BY-2より単離した核をGTPとブタ脳由来のチューブリンと混合しインキュベートするとin vitroで放射状微小管の構築を再現できる。この系を用いて、放射状微小管の伸長時にチューブリンの付加が核表面から見て基部側(proximal)、遠末端側(distal)のいずれで起こるかを蛍光ラベルの濃淡を利用した方法、フォトブリーチ法、フォトアクチベート法という3つの方法を用いて調べた。その結果、チューブリンの重合反応は中心体の場合と異なり微小管の基部側で起こることが明らかとなった。このことは、高等植物細胞の核表面に存在するMTOCが中心体の機能的ホモログであるという考え方を否定するものであり、基部側重合型の全く異なるMTOCの存在を示唆するものであった。
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