2005 Fiscal Year Annual Research Report
雌性配偶体形成におけるサイトカイニンとリン酸リレー系の役割
Project/Area Number |
04J08421
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 香織 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 配偶体 / シロイヌナズナ / サイトカイニン |
Research Abstract |
ストレスによる種子数の制御に雌性配偶体におけるリン酸リレー系が関与していると考えられる。遮光すると正常に種子が形成されないことが分かっていたので、光が雌性配偶体形成に影響を与えているのではないかと考え、検証した。様々な条件で遮光したときにどのように種子形成が阻害されるかを調べた。その結果、受精が終わっていない花を遮光した場合ほとんど種がつかないことが分かった。詳しく観察すると特に雄ずいの発生が異常になることが分かった。雌ずいの形成にも影響するが、雌性配偶体形成に直接影響するかどうかは明らかにする事は出来なかった。 昨年度に引き続き、雌性配偶体形成におけるサイトカイニンの役割を調べるために、全てのサイトカイニン受容体遺伝子(CRE1,AHK2,AHK3)が破壊され、サイトカイニンに対する感受性がまったく失われたシロイヌナズナの突然変異体を用いて、サイトカイニンが配偶体形成に関与するかを調べた。変異体の胚珠では、8割で雌性配偶体の構造が確認されず、約1割は様々な段階で発生が止まっており、残りの約1割でのみ成熟した配偶体が形成されていた。このことから、サイトカイニンは雌性配偶体形成に重要ではあるが、必須ではないことが明らかになった。また同時に、雄性配偶体である花粉の観察を行ったところ、2つの精核と1つの栄養核を持つ花粉は形成されていたが、野生型に比べて非常に低い割合でしか発芽せず、発芽しても短かった。つまり変異体の花粉は成熟していないことから、サイトカイニンは雄性配偶体の成熟に必要であることが示唆された。さらに野生型の花粉を突然変異体の雌ずいにかけたときに、ほとんど花粉管が伸びなかったことから、サイトカイニンは花粉管を伸長させるという雌ずいの機能にも重要である事が分かった。
|
Research Products
(1 results)