2004 Fiscal Year Annual Research Report
大腸がんにおける核内レセプターの機能解析と核内レセプターを標的とする治療法の開発
Project/Area Number |
04J08442
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川名 克芳 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核内レセプター / 大腸がん / β-catenin / LXR |
Research Abstract |
大腸がんの発がん過程で異常の起こりうる遺伝子変異のうち、APCとK-Rasの変異が重要であるといわれている。特にAPCの変異は、β-cateninの脱抑制によりWntシグナルの活性化を引き起こる。本年度は大腸がんの発がんとの関連が考えられる核内レセプターについて、Wntシグナルとの相互作用を解析した。β-catenin/TCFの応答配列をつなげたレポータープラスミドとβ-catenin、オキシステロール受容体であるLXRa又はβをヒト胎児腎臓由来の細胞株HEK293細胞にトランスフェクションした。その結果β-catenin/TCFの転写活性化はLXRリガンド依存的に抑制された。この抑制がβ-cateninとLXR間の相互作用によるものかを調べるために、mammalian two hybrid法を行った。その結果β-catenin全長とβ-catenin分子内の転写活性化領域であるC末端にLXRとの相互作用が確認された。またN末端にも弱くではあるが相互作用が見られた。現在、GST pull-down法または免疫沈降法によってin vitro及びin vivoにおける2つの分子の相互作用を解析中である。 LXR、PXR、VDR、FXR、RARなどの脂質応答性核内レセプターや野生型または分解を受けない変異β-cateninの発現ベクターを、レトロウイルスを用いてラット腸管由来細胞株IEC-6に組み込み、各種核内レセプター安定発現細胞株を作成した。今後は、これらの細胞や大腸がん由来細胞株にリガンド(二次胆汁酸などのコレステロール代謝産物、合成化合物、各種抗癌剤)を処理することによる細胞の変化や応答性を解析し、核内レセプターの標的遺伝子(P450酵素系やABCトランスポーターなど、薬剤代謝関連遺伝子も含む)やがん関連遺伝子の発現変化をリアルタイムPCR法にて、細胞の増殖能を細胞計数分析装置にて、形態の変化を組織化学的方法にて検討する予定である。
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