2006 Fiscal Year Annual Research Report
無細胞再構成実験系を用いたRab3A系によるシナプス小胞形成機構の解明
Project/Area Number |
04J08452
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 威 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | シナプス小胞 / エンドサイトーシス / Rab3 / Rab3-GEF / HGF / Ras / RIN2 / Rab5 |
Research Abstract |
神経回路網において、シナプスを介した神経細胞間の情報伝達が脳の高次機能に関与している。この神経細胞間の情報伝達は神経伝達物質の放出により行われているが、神経細胞内で神経伝達物質を運ぶシナプス小胞の形成機構についてはほとんど明らかにされていない。以前の研究により、シナプス小胞を前シナプス膜に運ぶ役割を担っている低分子量Gタンパク質Rab3の活性化因子であるRab3-GEFがシナプス小胞のサイズの決定に関係していることが明らかになっている。また、これまでの解析によりシナプス小胞の一部は形質膜からのエンドサイトーシスによって形成されることがわかっている。しかし、シナプス小胞の形成がどのようにして制御されているのか、シナプス小胞の形成はRabの活性化と関係するのかは不明である。そこでRabの活性化とエンドサイトーシスによって形成される小胞の量や大きさとの関係を形質膜を用いた無細胞再構成実験系を調べた。その結果、上皮細胞の形質膜ではRabの活性化によって小胞の形成がコントロールされていることが明らかになった。形質膜上のc-Metと呼ばれる受容体にHepatocyte growth factor(HGF)が結合することにより低分子量Gタンパク質Rasが活性化される。活性化されたRasはRab5-GEFであるRIN2と結合する。それによりRIN2がRab5を活性化し、小胞形成を促進することが明らかになった。HGFを作用させるとエンドサイトーシスが促進されることやRab5の活性化でエンドサイトーシスが促進されることが分っていた。しかし、それらの関係については不明であった。今回の解析によりRas-RIN2-Rab5というシグナル伝達がエンドサイトーシスの促進に関係することを明らかにした。このようなシグナル伝達系は神経系にも存在していると考えられるため、シナプス小胞の形成制御の機構の解明においても重要である。
|