2004 Fiscal Year Annual Research Report
桿体と錐体における光受容蛋白質リン酸化とその制御機構
Project/Area Number |
04J08460
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有信 大輔 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 錐体・桿体 / 光受容蛋白質 / リン酸化酵素 |
Research Abstract |
脊椎動物の網膜には、錐体と桿体の二種類の視細胞が存在し、錐体と桿体とでは光応答の特性が異なっている。その分子基盤の一つとして、活性型の光受容蛋白質がリン酸化によって不活性化されるが、錐体ではこのリン酸化反応が非常に早いことが明らかにされてきた。研究代表者はこれまでに、新たに迅速反応停止装置を作製し、これを用いて、この錐体光受容蛋白質の迅速なリン酸化反応を実時間で測定した。さらに今回、錐体での早いリン酸化がどのような原因によるのかを検討した。具体的には、 1.錐体と桿体でリン酸化酵素それ自身の活性に違いがあるのか 2.錐体と桿体で細胞内に発現しているリン酸化酵素の量が異なるのか を調べた。 1を調べるために、錐体、桿体それぞれのリン酸化酵素を培養昆虫細胞で発現させた。発現させた錐体、桿体それぞれのリン酸化酵素を用いて酵素活性を測定した結果、リン酸化酵素1分子あたりの比活性は、錐体の方が20倍ほど高いことがわかった。 また、実際の細胞で錐体、桿体それぞれのリン酸化酵素がどれくらい発現しているかを定量するために、それぞれに特異的な抗体を作製した。これを用いて、western blottingで実際の細胞内で発現しているリン酸化酵素量を検討した。その結果、錐体では桿体と比べると、10倍ほどリン酸化酵素の発現量が多いことがわかった。 以上のように、錐体ではリン酸化酵素1分子あたりの比活性も高く、さらに発現量も多いことから、全体として非常に高いリン酸化酵素活性を有し、その結果、光受容蛋白質が迅速なリン酸化反応によって不活性化されることを明らかにした。
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