2004 Fiscal Year Annual Research Report
SOX転写因子群による中枢神経系の分化と領域化をゼブラフィッシュを用いて解明する
Project/Area Number |
04J08463
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥田 雄一 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | sox遺伝子 / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
本年度の研究によって新たに以下のことを明らかにした。 1.ゼブラフィッシュ胚におけるsox遺伝子の発現領域を、中枢神経系特異的に発現する既知のマーカー遺伝子の発現領域と比較し解析した。これにより様々な発生段階において、sox遺伝子群が中枢神経系のどの領域で発現しているのかを詳細に明らかにした。また中枢神経系のそれぞれの領域で、各sox遺伝子がどのような重なり合いを持つかを明らかにした。 2.mRNAをマイクロインジェクションし、sox遺伝子を過剰発現させた胚に見られる影響を調べた。sox遺伝子を過剰発現させた胚では、原腸貫入が終了し、体節形成期に発生が進む頃に多くのembryoが致死になった。また、致死にならず発生が進んだembryoでは、(1)体幹部が短い。(2)単眼・無眼になる。(3)体軸が二股に分かれる。といった影響が見られた。sox遺伝子の過剰発現によって発生の初期の段階から異常が現れることから、初期の発生においてsoxタンパク質の量やその分布が重要である可能性が考えられた。 3.morpholino及びgripNAをマイクロインジェクションし、sox遺伝子の活性をノックダウンした胚に見られる影響を調べた。sox遺伝子をノックダウンした胚では、(1)原腸貫入が正常に起こらない。(2)尾部の形成が正常に起こらない。(3)前脳及び中脳領域に欠失が見られる。(4)眼が正常に形成されない。(5)網膜の色素細胞が正常に形成されない。(5)yolkが正常にくびれない。といった影響が見られた。sox遺伝子の活性のノックダウンにより、中枢神経系の形成に重要な原腸貫入の異常、脳領域における欠失、網膜及び眼の形成異常などの影響が見られたことから、sox遺伝子が中枢神経の形成に重要な働きを担っていることが明らかになった。
|